マスキュラックスってご存知ですか?
ご存知ないですよね。

どっかの病院の看護士さん(性格には准看護士)が、点滴の中に筋弛緩剤を混入させていた事件(『点滴殺人』とか言われてた)をご記憶ですか?

その時使われた筋弛緩剤がマスキュラックスです。(多分)

あれ以来、筋弛緩剤などの一部の薬は、ものすごく管理が厳しくなりました。
病棟に今何アンプルあるかいつも数え、使った後は空になったアンプルも薬局に返却しなくてはいけないのです。

日勤終了後、そのアンプルが一つないとスタッフが大騒ぎ。
使った看護婦Kさんは
「えっ…あれってアンプル返すんでしたっけ?捨てちゃいましたぁ」

ええええええええーーーーー!?!?!?

どこに捨てたか聞いてまたびっくり。
私たちの出すゴミは「医療廃棄物」になるので、分別が厳しいのです。
アンプルを捨てるゴミ箱に捨ててるならゴミ箱をひっくり返せばすむ話だったんですが、彼女はなんと、「針を捨てるところ」に捨ててしまったらしい。

一番危険なものを捨てるゴミ箱なので、ただの箱ではなく、液体を入れるようなポリタンクです。
入れ物は白くて中は見えないし、捨てる口は直径約5センチ。

しかたがないので、処置室の床に新聞紙を広げ、その上に中身を出していきました。
口が狭くてなかなか出てこないし、手で触ると危険だし(生身の針がそのまま捨ててある)、でっかいトングみたいなやつでちょっとずつかきだしました。
リーダーのWさんがあさること20分。

「あったぁぁ!!!」

ああーよかった。
しかし、新聞紙の上に山積みになった針をまたポリタンクに戻さなくてはいけないのです。
針をそのままにしておくのもナンだし、早出のさくら以外はみんな仕事終わってないし、リーダーさんは申し送りの時間が迫ってるし…

しかたなくさくらがちょっとずつ捨てました。
ポリタンクの口が狭くてすごく捨てづらいんだけど、手で捨てると間違って針を刺してしまうかもしれないから危険だし、トングのお化けでちょっとずつ捨てました。

一人で悲しく処置室に座りこみ、地道に針を捨てること40分。
右手が痛くてぷるぷるしてきたけど何とか終わりました。
看護婦って地道な仕事です。

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