非常にうるさい男の子が入院しております。
(『白衣の天使たるものがなんたる暴言!』というお叱りはこの際、無視させていただきます)

真夜中に目をさまし、すさまじい声で絶叫します。

「看護婦さあーん!!看護婦さあーん!!こっちきてよおーー!!!」

病棟中に響き渡っております。

「看護婦さーん、一緒に寝ようよう。」
忙しいので断ると
「一緒に寝ようと思ったのにいー」
その場を去ると
「看護婦さあーん、待ってよー、うぎゃあああー!!!」

一番離れた部屋でドアを閉めていても聞こえる彼の絶叫。

3歳のゆうちゃん。

ものすごい甘ったれです。

大部屋に入院しているので、お母さんは夜には帰ってしまい、面会時間まで来ないのです。

日勤のため出勤したさくら、相変わらずわめいてる彼の部屋の前をたまたま通りました。
あまりに叫びまくるので、みんな聞こえないフリをするようになってしまったのです。
忙しい小児科の冬。
そのなかでも特に忙しい朝。
白衣の天使たちには優先順位というものがあるのです。

しかしさくらはすごい光景を目にしてしまいました。

彼はパニックに陥ったのか、自分の頭より高い柵をよじのぼっていて、すでに胸から上が柵の上に出ていたのです。

「何やってんのっっ!!!!!」
さくら思わず絶叫。

発見があと30秒遅かったら、彼はベッドの下に転落していたことでしょう。
あわてて抱っこしてナースステーションへ連れて行きました。

転落寸前だったのを聞き、スタッフ一同唖然。

しかたがないので、抱っこして一緒に申し送りを聞きました。
しかし大事な話の最中にも関わらず
「お母しゃーん…お母しゃんこないよおー!」
と、次第に叫びが大きくなっていきます。

…うるせぇー…

あと2週間はいるらしい。
やっかいなことになってしまった…

彼の安全やいかに。

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